ツアー初日は、千葉。まったく予想していなかったハコ。てっきりFABから始まると思っていたので。
「狭い、汚い、ステージが低い」。僕の中のライヴハウスの定義にもっとも近いLOOK。入り口とフロアとステージの区切りがないに等しい。ステージ高30センチもないんじゃないか…。ワンフロアの中に全てが凝縮されている感じで、楽屋とフロアの仕切は暗幕1枚。音はめちゃくちゃいい、というわけではないけれど、低音と高音のバランスがちょうどいい感じ。

ステージ上に一段高く作られたドラム台に、「犬神サーカス団」ロゴ入りのバスドラ、黒いタムタムとスネア、シンバル…明さんのドラムセット( 最近気づいたんだけれど、明さんのドラムって黒いんだよね )が短時間にセッティングされてゆく。

聴いたことのないSEが流れる中、メンバー登場。凶子さんがマイクスタンド前にスタンバイすると、おもむろに音が鳴り「最初の扉」で幕開け。「ギィィィィ」という扉が開く音は、明さんがドラム横のシンセで鳴らす。打ち込みではなく生演奏。全然違う曲みたいだ。すごい迫力の音の中、凶子さんは腕を斜め上に伸ばして左右に飛ぶ。このギャップは一体(笑)。
そして「花嫁」へ。2曲目がこの曲っていうのは、予想通り。でも相変わらずイントロ3秒後くらいじゃないと分からない。一瞬、ギターのキーが聴き取れないというか、理解できないというか。かろうじて、ドラムのリズムで「花嫁」だと分かる。いや、「花嫁」であってほしいという願望も多少あったり。
「こんばんは、犬神サーカス団です。最後まで楽しんでいってちょうだいなっと。」という、いつもの挨拶から「黄泉の国」へ。
「洗脳」のイントロ時に、凶子さん、「きゃぁぁぁ」というか「ひゃぁぁぁ」という感じで絶叫。ライヴ後半でも声が変わるほど叫んでいた。情次さんとジンさんがステージ中央で演奏している時、少し後ろに下がった凶子さんが、静かに醒めた目で立っていたのが印象的。

全体的にレイヤーの入った髪型に赤いエクステンション( ではなく、自毛を染めているとのこと )でいつもと雰囲気の違う凶子さん( かわいい )のネイルは深い臙脂( えんじ )色。今までこんなに細身だと思っていなかったジンさんは、腰が折れそうなくらい細い。情次さんはわりと汗だく。でもメイク落ちないもんだなぁと変なところで感心。と、まぁ、メンバーさんが近すぎて面白い。この近さはナミキ以来だ( いや、あの時より近いかも )。明さんは相変わらず( 何が )。ちょっと腕が細くなったかな( なんとなく )。前半はずっとニヤリ笑いの連発で。

凶子さんがバディさんに手伝ってもらいながら上着を脱ぐ。ふと気づくと明さんも学ランを脱いでいた( いつの間に…笑 )。
「もうすっかり春よねぇ。春と言えば新しい出会いがあって。恋の花咲く季節よねぇ(笑)。」と言いつつ、「( ♪ )わっすれられないのぉ〜」と「恋の季節」 ( ピンキーとキラーズ )のAメロの1フレーズを、フロアと掛け合いをしながらアカペラで歌う。
「恋の炎」( 最新マキシ「最初の扉」2曲目 )では苦しそうに歌う表情がなんともいえない。単に声が出しづらいのかもしれないが。マーシー氏( EARTHSHAKER )の作った曲に、できるだけシェイカーらしくない詞をつけたとのこと。「傷口を開いてベッドの中で愛し合う」という表現が新鮮。今までの犬神サーカス団とは少し違う「女の情念」を感じさせる楽曲。
その後、間髪入れずに聞こえてきたイントロ。僕の頭は一瞬で曲を認識する。こ、この曲は!!!( ToT )
胸を患った少女の心の中に宿る復讐の炎、短調の旋律、2コーラス目はリズムパターンが変化する印象的な曲。最初のアンケートからずっとリクエストし続けた大好きな「廃墟の街」が僕の目の前で演奏されている。まさかこのツアーで聴けるとは思ってもいなかった。足が震えて、思わず隣にいるM氏の腕に掴まる。そうでもしないと床に崩れてしまいそうな感じ。
ラスト前のサビ部分、左のスティックが思いっきり飛ぶくらい、ドラムがめちゃくちゃ激しくてかっこいい。いつもはあまりこういう叩き方( スネアを上から叩きつけるような感じ )をしないよね、と思うくらい明さんっぽくない、でも明さんっぽい( どっち・笑 )。しかも、こんなに間近で。はぁ…。幸せ。
「カナリヤ」では薄緑色の照明がステージを照らす。
「大地に死す」の演奏が終わらないうちに、凶子さん、いったん退場。ギターソロが始まる。フロアから歓声を浴びつつギターソロを奏でる情次さん。「おやおや、ロックスターを気取っているようねぇ。」と凶子さんの声がフロアに響き「三つの扉」へ。今日は情次さんのサラリーマン編のみ。あらかじめ歌詞を一度言うあたり、歌い方がフォークシンガーっぽい(笑)。
「こんなことなら、ずっと家にいた方が良かったんじゃない?」と喋りながら、凶子さん再登場して「退化」へ。いきなり歌詞を間違える。予想通り( リズムの激しい曲なので )フロアのテンションが高くなり、モッシュ状態に。個人的にはこういう感じのライヴは17年前のスターリンのライヴ以来だ。というか、昔はこういうの普通だったよな(笑)。
「STALIN( スターリン )」…80年6月に遠藤ミチロウ氏が結成した伝説のパンクバンド。初期の頃のライヴでは豚の首や内臓が飛び交ったり、全裸になったり、汚物をぶちまけたり…とセンセーショナルでスキャンダラスなライヴパフォーマンスが有名だが、当のご本人はステージを降りると、東北弁の抜けきらないイントネーションで喋る物静かな人。( J-ROCK豆知識その3 )
「白痴」まで、フロアのテンションは落ちない。こんな端にいても、僕の後ろの女の子、元気よすぎ(苦笑)。ライヴハウスは大好きだけれど、人と接触するのは苦手。もっと横に移動したかったけれど、これ以上どうにもならないし…。
ジンさんのテンションがとても高い。何度も目を見開くようにフロアを見つめているが、その瞳には何も映っていないような感じがする。ドラムの場所が暑いらしく、明さんの上半身は、すごい汗。
「最後のアイドル」が終わり、メンバーがステージ前に横一列に並ぶと、会場に響くユーロビート。ま、まさか !? 凶子さんのマイクスタンド前に縦に一列に並び( 手前から凶子さん、ジンさん、情次さん、明さん )踊り出すメンバー。わーい !!( わーい、って・笑 )「最初の扉( パラパラバージョン )」だ !! もう考えるヒマもなく、思いっきり一緒に踊った。「ロックは死なズ( パラパラバージョン )」を観た時( DVDに映るみんながすごい楽しそうだった )から、ずっとこれ踊りたかったんだよ。この踊りを実際に観て、自分が踊っている不思議な状況。でも楽しい。「ロックは死なズ」にはなかった、頭の横で指をくるくる回す動作が面白い。今日のハイライトはこれか( 違うって・笑 )。
アンコール、最初に登場した凶子さん、下手( しもて )を指して「こっちの犬から呼ぶわね。」
ジンさんが登場してすぐに「じゃぁ、次は…」「え?もう?」「なんか喋りたい?」「いや、特に(笑)。」
明さんの田村正和の物真似は、「はい、じゃあ、次。」と凶子さんに軽く流された(笑)。
情次さんは素肌が透けるほど薄い素材の黒いTシャツで登場。「見える?」「え?毛?」と情次さんがフロア前列の子と盛り上がっている時、凶子さんが明さんの方を向いて何か話しているが、分からないらしく「何言ってるのか全然分かんない」というふうに口を動かして笑う。
「本当に楽しいわねぇ。」というMCの最中、明さんがシンセの音を出して邪魔をすると、「なんでMCの邪魔するのよ。」という感じに本気でムッとしていた( ように見えた)。明さんには見えないだろうけれど(笑)。
すっかり定着した「一生歌い続けます!命みぢかし恋せよ人類!」から「鎮魂歌〜レクイエム〜」へつなぎ、ライヴ終了。
「廃墟の街( ピアノバーション )」が流れる中、メンバー全員、ステージ前に集合。手をつないで何度もジャンプ。床に崩れた凶子さんを、明さんと情次さんが助け起こす。
メンバーが退場しても客電が付かず( というか、あまり明るくならない )、「アンコール」の声と手拍子が止まない。この後のサイン会のために、いったん全員を捌けさせなければならないスタッフから「ライヴは終了しましたので〜。」という声が掛かっていた(笑)。

TV番組でどんな企画をやろうとも、「俺たちは変わらない」と言っていたように、ライヴで観る犬神サーカス団は何も変わらない。僕の目の前に存在する「真実」は一つ。
2004.04.30〜05.18
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